「わらべ歌“かごめかごめ”を易経で読み解く」  

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「わらべ歌“かごめかごめ”を易経で読み解く」 

子どものころ、誰しも一度は口にした、わらべ歌の“かごめかごめ”

かごめかごめ
籠の中の鳥は
いついつ出やる
夜明けの晩に
鶴と亀が統べた
後ろの正面だあれ

昔からこの謎めいた歌詞の意味を探る試みは数多くされてきて、いわゆる「日本・ユダヤ同祖論」的なオカルティックなものから、呪術的な物、徳川埋蔵金の隠し場所等々、都市伝説は数多くあるのですが、もっと雄大な時の流れ、時代の流れを暗示した歌詞なのではないのかなぁ…と漠然とした思いであったわけです。

その答え(?)が偶然脳裏に浮かびました。

結論から申せば

「完成と破壊、そして再生」

これは易経64卦の生成発展、大いなる循環の物語のテーマです。そして件の謎めいた歌詞は、易経64卦の最後の五つの卦象の部分を表していると思うのです。

「水沢節」…節目の物語(時代の移り変わり)

「風沢中孚」…誠、良心、志の物語

「雷山少過」…飛鳥の物語

「水火既済」…完成成就の物語

「火水未済」…破壊と再生の物語

そして

「乾為天」…原初、始まりの物語

…です。

それでは、誰もが口ずさむことができて、誰もその意味を知らない「かごめかごめ」の歌詞の意味、易照流に説き明かしていきましょう

「かごめかごめ」

「水沢節」には竹の節目を例えに物事の区切り、けじめを表す卦象です。歌に歌われている「かごめ」は「籠目」であり、籠は「竹」で編まれます。そして「籠目」は「節目」でもあり、その籠目であり節目は、長い宇宙の歴史の一つ一つの時代を示しているのだと思います。

水沢節は上爻に至って「苦節」となり、過ぎた節度や節制を戒めて卦が終わりますが、この場合の節は制度でありその時代時代のスタンダードだともいえるでしょう

行き過ぎた市場経済と富の偏重。「お金」という価値観がスタンダードな時代が、耳に障るような軋みの騒音を立てながらもなお動き続けている様子を、水沢節の上爻は表している様に思えます。

「籠の中の鳥は」

「風沢中孚」の「孚」は、「爪」に「子」を合わせた文字で、親鳥が卵を温めている様子に例えられます。

卦象は陰爻(- -)が三爻四爻で上下を陽爻(—)に囲まれています。この象はまさしく「籠の中の鳥」であり、風沢中孚の二爻には唐突に「鳴鶴在陰」と「鶴」が登場します。そして四爻には「月、望に幾(近)し」で、「時は満ちた」という意味にも取れます。

偶然でしょうか?

風沢中孚は上卦が「巽風」であり、占星学上で話題になった「風の時代」に一致するものが有ります。下卦は「兌金」であり、占星学上ではエレメントは「水、火、土、風」の四元素で、金は土に属します。

易経は下から上に物語が進行していきますので、下卦「金=土の時代」から、四爻「月、望に幾(近)し」を経て「風の時代」に遷ったということを示しています。

「いついつ出やる」

「雷山少過」はその卦象から「飛鳥」飛ぶ鳥を例えにした爻辞がかけられています。

卦象の三爻、四爻を鳥の體、初爻、二爻と五爻、上爻の陰爻(- -)を鳥の翼に見立てます。

この卦には「少過」と「少」の字が充てられており、籠から出たばかりの鳥はすぐには大空に飛び立つことはできませんから、羽を動かして飛び立つ練習をする。卦辞に「飛鳥、之が音を遺す」とあり、ここより転じて時代は変わったけれども、未だその変化はわずかな兆しに過ぎず、いまだ旧時代の旧弊が根強くその変化を拒んでいる…と読み解くことができます。従って、籠から出たばかりの鳥は、このまま空高く飛び立って大丈夫なのか半信半疑な状態です。

周りを見れば、時代の変化に聡い人はすでに行動に移しているし、変化を感じ取った人たちが旧弊から脱し、新しい生き方、新しい価値観に目覚めつつある。

あるいはちょうど巣立ちを迎えたひな鳥のように、羽を動かし羽ばたく練習をしている様子…そんなイメージが浮かび上がります。

「夜明けの晩に」

「水火既済」は易経の陽爻(—)、陰爻(- -)がそれぞれの定位位置に収まるという完成の卦。一方でこれは終着点であり、それ以上の発展変化は望めない卦象でもあります。

ここで夜明けと晩の解釈ですが、水火既済の下卦は「離火」であり太陽を示します。

下卦に有る太陽で、当に日の出直前の様子であり、これが「夜明け」を示します。

上卦の「坎水」は下の図に有るように、八卦の坎水の司る時間帯は夜23時~午前1時で、真夜中の八卦です。したがってこれが「晩」を表し、易経の進展に従えば。下卦「離火=夜明け」→上卦「坎水=晩」で、したがって「夜明けの晩」となります。

「鶴と亀が統べた」

ここで「鶴」と「亀」ですが、その答えは方位の神様「四神」にあります。

このうち注目すべきは北の「玄武」と南の「朱雀」

玄武は上のイラストの北にあたる、亀と蛇の神。朱雀は鳳凰です。

そしてそれぞれの方位は玄武は北で則ち八卦は坎水。

鳳凰は南で八卦は離火です。

「鶴(朱雀)と亀(玄武)が統べた」…易は下から上へと物語が進んでいきます。しかしこの順番であれば鶴=朱雀=離火(下卦)、亀=玄武=坎水(上卦)で水火既済とならなければつじつまが合わない。

「後ろの正面」

そこで最後のどんでん返し。易経64卦最後で最大のどんでん返しが繰り広げられます。ここで繰り広げられるどんでん返しとは、DNAの螺旋に象徴される「ねじれ」、ある作用に対する反作用です。

古事記で主神である陽の役割を、女性神である天照大神が司るように、本来あるべき役割の矛盾を、万物が生まれる易経の理念に基づくあるべき姿に戻そうとする膨大無限のエネルギー。

水火既済の上卦「坎」は男性卦、下卦「離」は女性卦で今の世の中は男性優位の世界を、一方で火水未済と女性優位の世の中への転換。あるいは、水火既済の完成という行きついた時代の歪みを戻す「反作用」。これが火水未済の示す「破壊と再生」の大転換なのです。

易経は火水未済をもって易経という物語そのものは完結をみますが、意義的にはそこから原初の卦である「乾為天」に戻ります。則ち循環であり、永続性であり、万物は流転、生成化育の歩みを止めることなく変化を続けるのです。

今はどうでしょう。行き過ぎた市場経済、貨幣主義が当に行きつくところまで行ってしまった「水火既済」の時代なのではないでしょうか?

すでに占星学上では「風の時代」を迎え、目に見えないところでその変化の兆しが表れ始めているところです。

籠の中の鳥たち、気が付いた人たちはすでに籠の外に出、当に新しい時代に向けて飛び立とうと羽を動かし始めているところなんだと思います。

しかし、現実を見ればその変化にあらがうように「経済」「市場効果」「GDP」などの数字にしがみつく人が何と多い事か!それが「火水未済」のちゃぶ台返しで壊れていく時代は、もうすぐなんだと感じています。

たどりつく未来の姿を想像するとワクワクします。良い時代に生を受けました。

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