「易経」繋辞上伝を読み解く1

易経繋辞伝
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易経「繋辞上伝」を読み解く1

易経の解説書として紡がれた「繋辞上伝」は、孔子作とも言われ易経の成り立ちについて記した大変格調高い文章です。但し文章として読むには非常に抽象的であいまいです。そこで、少し視覚的な内容を付け加えたうえで、易照独自の解釈を加えてこれを読み解いていこうと思います。

天は尊(たか)く地は卑(ひく)くして、乾(けん)坤(こん)定まる。卑(ひ)高(こう)もって陳(つら)なりて、貴賤位(くらい)す。動静常有り、剛柔断(さだ)まる。方は類をもって聚(あつ)まり、物は羣(ぐん)をもって分れて、吉凶生ず。天に在りては象を成し、地に在りては形を成して、変化見(あら)わる。是の故に剛柔相い摩(ま)し、八卦相い盪(うご)かす。(繋辞上伝第1章)

この章は地球という天体、世界の生い立ちを表しています。「 天は尊(たか)く地は卑(ひく)くして、乾(けん)坤(こん)定まる 」とは、宇宙空間に漂う「暗黒物質(陰)」と「暗黒エネルギー(陽)」です。暗黒エネルギーより生じた陽の氣を暗黒物質が受け止めて万物を生じる原初の行程が高らかに歌い上げられます。

「 卑(ひ)高(こう)もって陳(つら)なりて、貴賤位(くらい)す。動静常有り、剛柔断(さだ)まる。 」

「卑高」とは宇宙を構成する、暗黒エネルギーと暗黒物質で、「陳なる」とは、その二つの融合によって生じる物質の最小単位である「原子」が生じる様子を表します。

貴賤とは「波動の高低」で、原子はより高い波動を放ち活動的なものもあれば、比較的低く穏やかな波動を放つものもある。

「 動静常有り 」

その原子同士の中で常にエネルギーのやり取りが行われます。

「 剛柔断(さだ)まる 」

やがて結合し原子と原子の結合から「分子」が生じられていく様子です

「 方は類をもって聚(あつ)まり、物は羣(ぐん)をもって分れて、吉凶生ず 」

そのまま意訳的に読めば原子は陽的な分子、陰的な分子に分かれそれぞれが集まることで物質が生じる。吉凶とは価値、善悪という概念ではなく、万物生成化育の過程の中で新たに生成される物質を「吉」、生成の過程の中で役目を終えたものを「凶」と表現します。

この節をもう少し掘り下げてみます。

「 方は類をもって聚(あつ)まり 」

「方」とは「整理、整然」であり物質を構成する原子の配列は理路共に整然としており、あらゆる物質は波動を放ちながら、比較的近い物質同士で集まることで「物体」を構成します

「 物は羣(ぐん)をもって分れて、吉凶生ず 」

一方で物体が生成されると、進化とともに新たに生じられるものと、役目を終えるものとに分かれ、前者は次なる物体の生成に活動し、一方で後者は新たな物体を生じるための物質へと還元されます

「 天に在りては象を成し、地に在りては形を成して、変化見(あら)わる 」

エネルギーの交流は天地間の上下にとどまらず、天は天の中で、一方で地は地の中で横へと広がり、それが天にあっては「気象」のような象(かたち)として表れ、一方地では天の象とは異なり、より可視的、物体的な具象、すなわち形となって定まります。これを「変化」と言います

「 是の故に剛柔相い摩(ま)し、八卦相い盪(うご)かす 」

やがて天の象の中、地の形の中にも波動の高い物と、比較的穏やかな物が生じてきます。ここから「四象(ししょう)」「八卦(はっけ)」が生まれ、この地球の世界、自然が整えられていきます。

第1章はこの先天図の乾と坤の間のエネルギー(原子と原子)の交換から物質が生まれ(中央の⇔)、やがてその動きが天(乾=陽)の中、地(坤=陰)の中にも広がっていく様子(左右の→)を解説しています。

原文は感じにして訳60字足らずですが、その内包する意味たるや、いくら言葉を尽くしても語りつくせない膨大なエネルギーの流れを感じます。

易経とは、「読む」のではなく「感じる」ことの方が重要です。これはこの後、繋辞伝で繰り返される孔子自らの言葉の数々からも感じられるものです。

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易経「繋辞上伝」を読み解く2
易経繋辞上伝第1章第2節
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