「上善如水」
上善は水の若(ごと)し。水は善(よ)く万物を利して争わず、衆人の悪(にく)む所に処(お)る、故に道に幾(ちか)し。(老子8章)
写真家の小嶋三樹先生の作品展に行き、作品の数々を鑑賞してきました。
先生の作品は、写真でありながら水墨画、あるいは色彩を廃した油絵のようなタッチで表現される「白と黒」の印影が趣深く、眺めるたびに表情が変わってみたり、発見があったりと引き込まれる作品が多いです。
また、おそらくプロの写真家に共通しているのだと思いますが、何氣ない風景の一枚の中に実にいろいろなものが映りこんでいて面白いです。偶然なのか?それとも被写体が写っていもいいよと姿を見せているのか?そのあたりの取り手と写り手の微妙な駆け引きを作品から感じ取るのも、なかなか楽しいものです。
今回鑑賞した作品の一枚に、台風が接近する中で取ったという上高地の滝壺の一枚に目を奪われました。雨で増水し、奔流が渦巻く滝つぼの水面はしぶきを上げ、激しく波打っています。その波紋が偶然でしょうか?ほんのかすかではあり居ますが、「老子」の顔を刻んでおりいました。
とっさに思い付いたのが冒頭の老子の一節。
そう言えば水という存在は、易経で表すと「坎」です。易の八卦としての「坎」は「険しい」や「困難」といった意味があり、生き物を生み育むイメージと随分かけ離れています。方位はでは北、時刻では深夜、季節では冬です。
「坎」の字を解くと「土」が「欠」けるとして「水」にこの文字を充てたのは、易のルーツは中国の風土をそのまま八卦の象意に盛り込んだものと思われます。
中国の北部を流れる「黄河」は暴れ川で、雨のたびに氾濫し、中国の歴代の王たちはその治水事業に力を注ぎました。おそらく、土を押し流してしまう暴流から「水」に「坎」の文字を充て、そして「険しい」や「困難」といった象意を盛り込んだのでしょう。
一方で老子はそんな水を「万物を利して争わず」と評した。これは何故でしょうか?むろん長い目で見れば、度重なる黄河の大氾濫が、流域の土地を肥沃な黄土で覆い、豊かな農地として中国文明の発展の礎になったわけですが、「争わず」の一句に違和感が残ります。先日の熱海を襲った土石流の惨禍を見ると、そこに「水」は「争わない」というイメージがわきにくい。むしろ山林を乱開発して、山の土が持つ保水能力を奪ったがゆえに、“土を欠く”という「坎」の象意としてあの土石流が発生したのではないかと感じるからです。
「自然が牙をむく」
一方で、こうした表現も考え方によっては「人間の傲慢」さの表れとも取れます。水にしてみれば、流れるべくして流れ出たに過ぎず、たまたまそこの下流に人の営みがあった結果が「牙をむく」と、人のご都合で非難されては、水に感情があればそれこそ“怒る”と思います。
「万物を利して争わず」の後、老子は「衆人の悪む(にくむ=嫌う)所に居る」と続けます。農作業をしていて雨に濡れるのも嫌ですし、泥まみれで服が汚れるのも鬱陶しい。でも雨が降らなければ作物は育ちませんし、水が無ければ生き物は生きられない。蛇口をひねれば水が出るという日常性と、豊かな水資源がある日本では、「水」はいろいろな意味で「損な役回り」を強いられているような氣がします。
ただ「水」という存在の想いを馳せた時、この水はこの地球が宇宙の中で生まれた時からすでに存在し、一滴も失われることなく地球の重力圏内で循環を繰り返している。今、自分が喉を潤すために飲む水も、太古を生きた数々の動植物の生を育んできた水と同じでしょうし、黄河を流れ時に氾濫して田畑を押し流したこともある水かもしれません。そしていま私の体内にある水もやがては再び天上がり、再び雨となって大地を潤し、やがて未来を生きる誰かの喉を潤すことになるでしょう。
「上善如水」の一節を、文字の意味だけから読み解けば、水は常に低い方に低い方に流れやがて大海に至る。しかしそこで蒸発して天に上る…という意味から「謙譲の徳」を説いたと考えられますが、老子の真意はそこにあるのではなく、水という存在の「永遠性」「永続性」に思いを致した時、一時を生きる「人」が抱く「善悪」の価値は無意味であり、ただただ「水」という存在の持つエネルギーと「流れる」「染み込む」といった本質に注目し、「人智を超えた“道”に近いのが“水”である」と評したのだと思います。
八卦の「坎」には「始まり」という象意もあります。水に限らず八卦には各々本質がありますが、水以外の他の七卦「乾、坤、震、巽、離、兌、艮」は、むしろ「地球」が誕生して初めてその存在が象(かたち)として表れてきます。地球が無ければ天も、地もなく、火も風も雷も存在しない。もちろん山谷を形成する山も川もない。
一方で「水」は生命が初めて生じた所であり、この地球が生まれる前から存在し、地球の誕生と同時に宇宙からもたらされた存在であることに思いが至ったとき、
この一滴一滴の水の中には、この宇宙が誕生したころからの「叡智」が凝縮されている
…と悟りを得たような境地に至りました。
伊邪那岐神と伊邪那美神が天沼鉾から滴り落ちる水一滴一滴でこの日本の国土を作ったという古事記のエピソードにも、「坎=大始」の徳が込められているような氣がします。
易照の方位予報 7月12日予報
方位予報図
予報詳報
北…☀
開門(金)が坎宮(水)に巡ります。宮からの作用はありませんが、門は月建から生を受け日辰に比和するので旺相。上々の吉方位です。お出かけした場合の方位事象、方位地支が子孫を帯びるので、お出かけすることでラッキーな出来事、幸運な出来事に遭遇します。九星は三碧木星が巡り心身ともに充実、氣力十分で諸事吉。健康面でも大きな崩れはないでしょう
北東…☂️
驚門(金)が艮宮(土)より生を受けます。門は月建から生を受け日辰に比和するので旺相し凶方位となります。お出かけした場合の方位事象、お出かけ先で悪い知らせを受け取ったり、出来事に遭遇し心労重なります。金運も悪く、貴重品を落としたり、お買い物では予算オーバーやカードの残高不足といった事態に遭遇しそうです。仕事面では、必要書類を忘れたり紛失しそうです。お出かけした場合健康面では、突然の腹下し、耳鳴りやめまいに悩まされそうです
東…☔️
死門(土)が震宮(木)に巡ります。門は宮から剋を受けますが、五黄殺と日破が重なる為凶意が非常に強く、お出かけには要警戒の悪方位です。お出かけした場合の方位事象、特に金運面が大凶で、お財布を落したり忘れたり、盗難に遭ったりしそうです。交際運では家族ではパートナーが久病や急な体調不良、あるいは口論やももめ事を起こしそうです。健康面では青龍同会で、特に食あたりに注意
南東…🌤
景門(火)が巽宮(木)より生を受けます。月建、日辰からの作用はありませんがまずまずの吉方位となります。お出かけした場合の方位事象、仕事運、金運が好調です。九星は六白金星が巡り、仕事面では余裕ができ、多少のトラブルにも動じない安定性があります。成果が上司や先輩に評価され、周囲からの信頼面もUPしそうです。金運面では、年長者からの援助があったり金融機関との融資交渉は通ります。健康面での大きな崩れはなさそうですが、火性が強い方位ですので熱中症に注意
南…☁
杜門(木)が離宮(火)に巡ります。宮からの作用はなく、門は日辰から剋を受けるので凶意減少で☁判定です。お出かけした場合の方位事象、吉凶半々ですが仕事面では何かと進展が無く閉塞気味です。無理に状況を打開しようとせずに、コツコツと努力を積み重ねるが吉。大きなトラブルにはなりませんが、交際運で意思疎通がうまくいかなかったり、通信トラブルといった問題が起こりやすい方位です。健康面では、腹痛、胃痛等、おなか周りの異変が起こりやすいです
南西…☁
傷門(木)が坤宮(土)に巡ります。宮からの作用はなく、門は日辰から剋を受けるので☁判定の平運方位です。お出かけした場合の方位事象、交際運が若干低調気味です。方位地支の未が父母、申が兄弟を帯びるので、職場では上司や先輩、同僚、交際面では友人、家族間ではパートナーとの間が何かとぎくしゃくしそうです。九星は四緑木星巡るので、コミュニケーションを密に、上下関係では報告、連絡、相談を怠らないようにしましょう。健康面ではのどの痛み、呼吸器系のトラブルに注意
西…☂️
生門(土)が兌宮(金)に巡ります。門は吉門ですが暗剣殺が重なる為凶方位となります。お出かけした場合の方位事象、交際運が低迷します。兌宮(金)に九紫火星が巡り、口舌禍の暗示有。とくに友人間、カップルでは何氣ない一言が炎上し口論に発展します。金運面では、分不相応な高額品や、見た目の派手な物、普段凶意を示さないような美術品などに目を奪われて衝動買いし、大散財しそうな方位です。財布のひもは固く。お出かけした場合健康面では、口周りの火傷や怪我、過食の暗示があるので注意しましょう
北西…🌤
休門(水)が乾宮(金)より生を受けます。門は日辰からも生を受け旺相して吉方位です。
お出かけした場合の方位事象、諸事吉方位ですが特に金運が良いでしょう。お買い物ではお買い得品に出逢ったり、お得なセールに出逢いそう。方位地支は戌が父母を帯びるので、お悩み事、問題はこの方位の先輩や年長者、親などに相談すると吉。健康面、大きな崩れはないでしょう。
凶方位への処方箋
警戒方位…北東、東、西
要警戒の東へは最大吉方の北(☀)がおすすめです。北へ方位除け後、吉刻を利用して現地入りが南東(🌤)となるように調整してください。
北東へは南東(🌤)への方位除け可能です。(凶方位東の方位除けとしても利用できます)南東に移動後、現地入りが北(☀)となるように調整しましょう。
西へは南東(🌤)への方位除け可能です。南東に移動後、現地入りが北西(🌤)となるように調整しましょう。
氣學・本命星日運
12日注意本命星は、四緑木星、五黄土星、九紫火星です。(お出かけの有無にかかわらず凶事発生しやすい一日となります)
四緑木星…本命星は坤宮(土)に巡ります。凶煞は重なりませんが、本命星が宮を剋すのと日辰から剋を受けるので運氣が低迷します。何かと物事がうまく進まなかったり、邪魔が入ったり、同僚に足を引っ張られてストレスがたまる一日となりそうです。こまめな休憩、気分転換を図ってください。
五黄土星…本命星は震宮で宮から剋を受けます。日破が重なるので、動けば動くほど泥沼にはまるという悪日です。男性は特に異性とのトラブルに注意。ストレスから過食になったり、体調を崩しやすいので注意しましょう。
九紫火星…本命星は兌宮(金)に巡り暗剣殺をかかえます。特に交際面で、直情的になりカッとなりやすいです。人間関係でのトラブルに悩みそうです。返答、受け答えは一呼吸をいて…を意識しましょう
出発吉刻
お出かけに適した吉刻は、子刻、寅刻(大吉)、卯刻、午刻(大吉)、未刻です。
凶方位へのお出かけは正午前後がよさそうです。
氣學・日盤及び時盤では、寅刻と午刻の東西、卯刻の西、凶煞重なる注意方位となります。
それでは12日が皆様にとり最幸の一日となりますように!
本日もご覧いただきありがとうございます
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