現代語訳②五類の占的別象意の解説です。
- 「天玄賦総論提綱通解」現代語訳②
- 「官鬼」用論
- 「官鬼は我を剋する者を鬼為すなり。大抵凶を為す処多く福を為す処少し。畏る所の者は福徳、恃む所の者は妻財。動けば則ち兄弟を剋傷し、父母を生扶す。然れども卦中凶と雖も而も凶と無かるべからず。但静に宜しく動に宜しからず」
- 「身命を占ふ。貴人帯ぶれば当に貴と為すべし。用に凶煞を加ふれば乃ち鬼を作さして推す。吉に遇へば必ず禄を進め官を如く。凶に逢へば必ず喪亡疾病とす」
- 「婚姻を占ふ。夫と為す。旺相して青龍の吉神帯ぶる者は必ず聡明俊雅の人物なり。貴人を加ふれば必ず匂当有り。然らざるも亦官家の子弟。若し用爻と合を為さば、未だ任あらざるも、他日必ず貴し。最も世を持し或いは陽象に臨むに宜し。皆地を得と名く」
- 「生産を占ふ。鬼と為す。六爻之に遭へば皆吉とせざるなり。もし初爻に臨まば産婦災に罹る。二爻に在りては胞胎安穏ならず。二爻の鬼空亡を帯びれば病に因りて胎を堕とす」
- 「官職を占ふ。用爻と為す。旺相し発動すれば父母の文書を生扶して而も成り易し。其の職必ず顕る」
- 「訴訟を占ふ。官吏と為す。発動して世を剋すれば宮司我に順ならず。我必ず輪名有り。交重応を剋すれば他必ず責罰に遭ふ」
- 「失脱を占ふ。賊と為す。初爻に在れば家の賊と為す。二、三爻には隣里。外に在れば外賊。上爻に在れば是れ遠処の賊。羊刃の凶煞を帯びれば懸針強劫の賊。皆動静化爻によりて其の方を決す可し」
- 「求財を占ふ。人と為す。もし空亡に落ち及び卦に上らざれば必ず合人説ぶ無し」
- 「出行を占ふ。阻滞と為す。若し世を持し上に在りて衰ふれば則ち卒に起脚し難し。旺相すれば是れ去るも成らず」
- 「行人を占ふ。鬼と為す。若し用爻を形害せば路に在りて官災に非ざれば則ち病む、兼て失脱を防ぐべし」
- 「家宅を占ふ。貴人青龍を帯ぶ者は銭神となす。旺相して地を得れば必ず銭財堆積を主とす。白虎を加ふれば喪門、吊客、病符の者なり。須く疾病喪亡を防ぐべし。朱雀を帯ぶ者は必ず官災、口舌、非横之事有り。若し玄武に臨まば、必ず盗難有り、財畜を亡失す。若し螣蛇を併せ発動せば必ず怪異虚驚有り」
- 「移居を占ふ。悪客と為す。若し発動に逢はば、移後必ず災殃を見る。終に吉利無し」
- 「田蚕を占ふ。禍害と為す。六爻之に逢はば、之皆不吉を主とす」
- 「国家を占ふ。乱臣賊子と為す。殺を帯び刃を加ふれば須く兵革の興るを防ぐべし」
- 「疾病を占ふ。夫を占すには用爻と為す。兄弟を占ふには剋殺と為す。其の爻旺相すれば疾病必ず重し」
- 「風水を占ふ。伏屍と為す。何神に臨むを看て、落便ち何処に在り已に葬り来たるを知る。亡者を占ふには青龍吉神を帯び、動かざれば亡者安くして而して福を得。凶煞と白虎を加へ空亡に逢はば安からず。生人禍有り。」
- 「官鬼」用論
「天玄賦総論提綱通解」現代語訳②
「官鬼」用論
「官鬼は我を剋する者を鬼為すなり。大抵凶を為す処多く福を為す処少し。畏る所の者は福徳、恃む所の者は妻財。動けば則ち兄弟を剋傷し、父母を生扶す。然れども卦中凶と雖も而も凶と無かるべからず。但静に宜しく動に宜しからず」
この節の「我」とは、得た卦象が帯びる五行を指す。すなわち卦象が帯びる五行を剋するものが官鬼であり、官鬼は百事災禍阻滞の凶神であるので、一般に身命などを占っては官鬼の爻は吉少なく、凶が多いとみなすのである。「福徳」は子孫爻であり官鬼の忌神となるので、卦中発動を見ればよく官鬼を制剋する。ゆえに占って子孫の爻が官鬼の爻を剋すような場合は吉象であるが、功名占、試験や就職などを占う際には子孫爻の発動を見れば、職を失ったり、弾劾批判を受けたりすることを畏れる。また妻財は官鬼の原神となるので、発動を見れば勢いを増す。官鬼の発動を見れば兄弟を剋し父母を生じる。しかし占って卦中に官鬼を帯びる爻が現れず伏神するのもまた不吉である。なぜならば、この星は権威の神でもありこの爻が無ければ破財星の兄弟が勢いを増すからであり、金運求財を占って官鬼爻が伏神することを嫌う。ゆえに、卦中に現れかつ静爻であることを喜ぶのである。
「身命を占ふ。貴人帯ぶれば当に貴と為すべし。用に凶煞を加ふれば乃ち鬼を作さして推す。吉に遇へば必ず禄を進め官を如く。凶に逢へば必ず喪亡疾病とす」
身命の占いによっては、この爻に天乙貴人が就けば高位顕職に出世するの兆し。また上司、上役にある人と見ることもある。官鬼で凶煞を帯びれば性情は凶悪粗暴とし、あるいは長患いの病氣、病体とする。月建や日辰からの生や比和、また原神・妻財の発動があれば高位高官に出世し、高給取りとなる形である。剋を受けると早逝か病気がちで体が弱いとみる。
「婚姻を占ふ。夫と為す。旺相して青龍の吉神帯ぶる者は必ず聡明俊雅の人物なり。貴人を加ふれば必ず匂当有り。然らざるも亦官家の子弟。若し用爻と合を為さば、未だ任あらざるも、他日必ず貴し。最も世を持し或いは陽象に臨むに宜し。皆地を得と名く」
婚姻を占うにあっては官鬼を夫とする。もし旺相して青龍を帯びたりその他吉神を帯びれば、その人物は聡明で高貴な人物とする。一方で白虎を帯びたりその他凶煞を伴えば、その人は教養がなく粗野な人物とする。天乙貴人を加えるならば、高位高官に出仕する名門の家柄とする。あるいは出自は役人の子弟である。卦身や応爻と合を帯びれば、今は無位無冠であっても、後日必ず出世する人と見る。およそ婚姻の占いでは、官鬼を世爻が帯びたり妻財が陰爻(- -)で応爻に臨むを正しい象とする。これを「地を得る」といい、以上はいずれも吉象である。
※本文「用爻と合を為さば」とありますが、官鬼を主事爻とする以外、相手を占うのであるから応爻、あるいは卦身との合と解釈します。(世爻との合では求占者との相性を見ることになります)
「生産を占ふ。鬼と為す。六爻之に遭へば皆吉とせざるなり。もし初爻に臨まば産婦災に罹る。二爻に在りては胞胎安穏ならず。二爻の鬼空亡を帯びれば病に因りて胎を堕とす」
出産を占うにあっては、六爻中官鬼がどの爻にあってもその発動を皆凶兆とする。初爻にあれば初爻は母体の爻であるから、出産にあたって母体が傷つく。二爻にあっては二爻は胎児の爻であるから、子どもの容態を心配する。さらに二爻が空亡にあれば、死産堕胎の形とする
「官職を占ふ。用爻と為す。旺相し発動すれば父母の文書を生扶して而も成り易し。其の職必ず顕る」
公職任官の占いでは官鬼爻を用神とする。若し旺相して発動があれば、文書を生じる原神となるので、試験や面接などでは好成績を修め任用叶う。すでに官職にある人は、事務手続き等は順調に進み、必ずや顕職に至るであろう
「訴訟を占ふ。官吏と為す。発動して世を剋すれば宮司我に順ならず。我必ず輪名有り。交重応を剋すれば他必ず責罰に遭ふ」
訴訟を占うにあっては官鬼爻を裁判官とする。もし発動して世爻を剋するときは判事は相手の言い分を聞き、自分にとっては不利益な判決が下る。また応爻を剋するのであれば相手が敗訴、あるいは相手に処罰の判決が下る。
「失脱を占ふ。賊と為す。初爻に在れば家の賊と為す。二、三爻には隣里。外に在れば外賊。上爻に在れば是れ遠処の賊。羊刃の凶煞を帯びれば懸針強劫の賊。皆動静化爻によりて其の方を決す可し」
失せ物を占うにあっては、官鬼の爻を盗賊とする。若し初爻にあれば家族内の犯行とし、二爻三爻であれば近隣に住むものによる犯行である。外卦の四爻や五爻が官鬼を帯びるのであれば外国人や外県より来たった賊であり、上爻ならば遠方より来たった賊である。羊刃や劫殺などの凶煞を帯びるのであれば凶器を持った強盗犯(凶煞よりも六獣白虎をもって推する)である。官鬼の爻をもってその容姿相貌を類推する(六獣より推断する)。旺衰をもって年齢層を定め、逃亡先は官鬼が帯びる地支の方位をもって充てる。あるいは化爻の帯びる地支を逃亡先の方位と見る
※「失脱占」は立占の機会が多い占的ですが、物の行方を占って一卦をもって失せ物の行方と盗難の有無を断じることは、歴戦の術者でない限りは誤占の元です。まず「失せ物が出るかでないか?」で一占。盗難を疑うのであれば、官鬼を用神として旺衰をもって一占と分占するべきでしょう
「求財を占ふ。人と為す。もし空亡に落ち及び卦に上らざれば必ず合人説ぶ無し」
求財(借財)、商売(商談、契約交渉)などの占いに在っては、官鬼を仲裁の人(条件)と見る。もし空亡したり伏神するような場合は、お互い歩み寄りがなく合意に至らないか、仲裁してくれる人がいないということである。
「出行を占ふ。阻滞と為す。若し世を持し上に在りて衰ふれば則ち卒に起脚し難し。旺相すれば是れ去るも成らず」
旅行や行商、出張を占うにあっては、もともと官鬼は憂疑阻滞の凶神であるので、もし世爻が官鬼を帯びるような時は、支障が生じ出発できなかったり出発が遅れる。この爻が旺相してほかに吉象がない場合は凶象であり、旅先で目的を達せられないとみなす。
「行人を占ふ。鬼と為す。若し用爻を形害せば路に在りて官災に非ざれば則ち病む、兼て失脱を防ぐべし」
行商、旅中の人の安否などを占う時は、官鬼をもって災害支障事の爻とする。もし世爻や用神の爻が衰弱しているところに、三刑や六害をもって剋してくるような時は、旅中に事故や災害に遭遇するか、病に罹ったり、貴重品を堕としたり盗難などに注意すべきである。
「家宅を占ふ。貴人青龍を帯ぶ者は銭神となす。旺相して地を得れば必ず銭財堆積を主とす。白虎を加ふれば喪門、吊客、病符の者なり。須く疾病喪亡を防ぐべし。朱雀を帯ぶ者は必ず官災、口舌、非横之事有り。若し玄武に臨まば、必ず盗難有り、財畜を亡失す。若し螣蛇を併せ発動せば必ず怪異虚驚有り」
家宅を占うにあっては、官鬼を帯びる爻に天乙貴人や青龍の吉神を帯びればこれを金運の神様とし、世爻が官鬼を帯び旺相し、応爻が妻財に臨み発動すれば必ずその家は富貴繁栄する。官鬼の爻が白虎を帯びれば、病多かったり葬式を出す不幸がある。(「喪門」「吊客」「病符」は神煞。他「官符」は験なく用いてはならない)官鬼爻朱雀を帯びれば、法的な問題が生じたり口舌の禍が発生する卦、予想外の情事が起こる。玄武を帯びれば盗難に遭いやすく、螣蛇は怪異事件や天災等に遭いやすい。
「移居を占ふ。悪客と為す。若し発動に逢はば、移後必ず災殃を見る。終に吉利無し」
転居、転宅を占うにあっては、官鬼は災禍の凶神であるから官鬼を悪煞とみる。この爻の発動があれば移転後必ず何か災等凶事が発生する。もし占って官鬼発動すれば凶占で転居は不可である。
「田蚕を占ふ。禍害と為す。六爻之に逢はば、之皆不吉を主とす」
農業耕作、畜産、漁猟、養蚕などを占うにあっては、官鬼を天災や病害などの凶災と見る。ゆえにもし官鬼爻の発動をみれば六爻いずれに在っても凶災は免れ得ない。旺衰をもって被害の軽重を推断する。
「国家を占ふ。乱臣賊子と為す。殺を帯び刃を加ふれば須く兵革の興るを防ぐべし」
国運を占うにあっては、官鬼は反乱であったり暴動である。ゆえに国運を占って官鬼爻月建や日辰から生を受け発動し、さらに「劫殺」「羊刃」などの悪煞を伴えば、必ず軍の出動をみる。特に官鬼爻が世爻を剋すのは凶象で、応爻に官鬼が臨んだり外卦の官鬼の発動は外敵の来襲であったり隣国と紛争が生じる。自国の利害を推断するには、官鬼爻の世爻への生合剋冲の関係から推断する。
「疾病を占ふ。夫を占すには用爻と為す。兄弟を占ふには剋殺と為す。其の爻旺相すれば疾病必ず重し」
およそ病を占う時は、官鬼の爻をもって病氣とする。旺相すれば病気は重かったり流行する。休囚であれば症状は軽い。官鬼伏神すれば病潜伏して発見し難い。病氣その物ではなく患者の容態を占うような時は、妻より夫の容態を占うのであれば官鬼が用神となる。したがってこの時官鬼爻を病氣の爻とは見ない。兄弟の容態を占う時は、官鬼は兄弟を剋す忌神となるのでもし官鬼が発動して、用神の兄弟が衰弱し月建や日辰あるいは原神の生を受けなければ、その容体は危ういとみる。
※「病氣占」も立占の機会が多い占的ですが、一卦をもって患者の容体と病気の症状や重度、原因等を判断することは難しいです。患者の容体、病氣と分けて分占すべきでしょう。
「風水を占ふ。伏屍と為す。何神に臨むを看て、落便ち何処に在り已に葬り来たるを知る。亡者を占ふには青龍吉神を帯び、動かざれば亡者安くして而して福を得。凶煞と白虎を加へ空亡に逢はば安からず。生人禍有り。」
墳墓や霊障を占うに在っては、官鬼を用神としてこれを霊障とする。どこに障りの原因があるのか、何が祟りの原因であるかについては官鬼が帯びる五行や五類から類推する。官鬼が静爻で青龍や他の吉神を帯びる時は、供養が行き届いており家や家人を守護する福神である。一方で白虎や他の凶煞を帯びたり空亡する場合は、供養が行き届いておらず霊障を引き起こすと言われている。
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