「天玄賦総論提綱通解」現代語訳⑤

「天玄賦総論提綱通解」現代語訳
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「天玄賦総論堤綱通解」現代語訳
「黄金策総断千金賦通解」に引き続き、「天玄賦総論提綱通解」を現代語訳します。
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「天玄賦総論提綱通解」現代語訳。今回は官鬼の用法についてです。
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五類の兄弟についての用法の解説です
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完結です。五類の子孫の用法の解説です

  1. 「天玄賦総論提綱通解」現代語訳⑤
      1. 「子孫という者は我を生ずる者、子孫と為す也。卦中至吉の神也。之に逢ふて者隹(鳥)と為さざる無し。之に背く者能く福を為す莫し。卦に父母無ければ則ち尅爻無し。兄弟有れば則ち依る有り。動けば則ち財を生じ官鬼を剋傷す」
      2. 「身命を占ふ。福徳と為す。若し世上に臨まば一生禄盈余す。険見るも危うき無し。凶逢ふも咎とするなし」
      3. 「婚姻を占ふ。子息と為す。卦中子孫無ければ、必ず児無し。但し動くに宜しからず。動けば則ち異日夫星を傷つく」
      4. 「生産を占ふ。用爻と為す。陽に属し旺相せば必ず男を生む。陰に属し休囚せば定めて女を生む。若し空亡に落つれば子育ひ難し」
      5. 「士官を占ふ。官を傷つくと為す。玷剝と為す。官を代ふると為す。発動すれば事を謀かり決して成り難し。任に在りて発動すれば官剥がれ爵を退く。若し貴人青龍天喜を帯び動く者は少しく玷剝有りと雖も官を代はる有るに過ぎず」
      6. 「訴訟を占ふ。解神と為す。和を勧める人と為す。旺相発動せば紛事必ず散ず。若し世応比和して更に此の神発動を得ば、必然として人を得て和するを允す」
      7. 「失脱を占ふ。捉獲之神と為す。権に当り発動せば必然として捕獲す。若し発動するも休囚せば、旺時必ず賊之踪跡を知る可し。亦た恐らくは愉時曽て人に見ら被る」
      8. 「求財を占ふ。顧主と為す。財源と為す。旺相発動すれば経営久かる可く利源綿々として絶へず。或いは空亡に落ち、及び卦に上らざれば乃ち顧主無き也。妻財縦へ旺するも只一度を許す再びは成就し難し。譬へば水之源無きが如し」
      9. 「出行を占ふ。好侶と為す。銭神と為す。外卦に在りて発動せば則ち路に好侶を得。財本虞無し」
      10. 「行人を占ふ。吉にして回ると為す。発動して世を剋すれば帰期已近し。当に意に称ふを得て而して回るべし」
      11. 「家宅を占ふ。少丁と為す。旺相すれば則ち人丁旺盛。青龍貴人を帯ぶれば必ず跨竈之子有り。白虎玄武を加ふる者は必ず凶頑不祥之児有り。又宅神と為す。若し世を持するは、其の家清安にして福を獲。災火染まず盗賊潜消す」
      12. 「農蚕を占ふ。成る有りと為す。旺相発動すれば田蚕倍収」
      13. 「国家を占ふ。国嗣と為す。吉神に臨まば建立已定まる。若し凶煞に加ふれば須く扶蘇、趙氏之謀を中するを防ぐべし。又弾劾之相と為す。旺相して動がば則ち朝廷に奸人無く国に忠良有り」
      14. 「疾病を占ふ。医薬と為す。当に権に当り発動せば其病自ら安し。卦中此神なければ服薬効無し。小児を占ふに用爻と為す。空亡に落ちざれば遂に大害無し」
      15. 「墳墓を占ふ。祭祀と為す。卦に子孫無ければ春秋二季人の祀る無し也」

「天玄賦総論提綱通解」現代語訳⑤

「子孫という者は我を生ずる者、子孫と為す也。卦中至吉の神也。之に逢ふて者隹(鳥)と為さざる無し。之に背く者能く福を為す莫し。卦に父母無ければ則ち尅爻無し。兄弟有れば則ち依る有り。動けば則ち財を生じ官鬼を剋傷す」

この節の「我」とは、得た卦象が帯びる宮の五行を指す。

すなわち卦の宮が帯びた五行が生じる五行の対象が子孫である。

功名や試験、就職、官事以外、占って世爻が子孫を帯びたり、世爻や用神が子孫爻より生合を受けることは概ね吉象ととらえて差し支えがない。ゆえにおよそ諸解説書で福徳と解説するものは子孫を帯びる爻の事である。

卦中、子孫の忌神となる父母の爻の発動を嫌う。兄弟は子孫の原神であるので、兄弟爻の発動は子孫爻の勢いを増す。若し、子孫爻が発動すれば妻財の爻を生じ、官鬼を帯びる爻を剋制して災いを免れるのである。

「身命を占ふ。福徳と為す。若し世上に臨まば一生禄盈余す。険見るも危うき無し。凶逢ふも咎とするなし」

身命を占うに在っては、子孫爻を喜神福徳の吉神とする。もし世爻や卦身に臨んで旺相であれば、生涯にわたり衣食に困窮することはなく、安泰幸福のうちに一生を全うするであろう。もし困難や生命の危機に遭遇するようなことがあっても、九死に一生を得るような幸運にまみえるであろう。

「婚姻を占ふ。子息と為す。卦中子孫無ければ、必ず児無し。但し動くに宜しからず。動けば則ち異日夫星を傷つく」

結婚を占うに在っては、子孫爻を夫婦間の子どもとする。

若し卦中の子孫爻が伏神したり、空亡するならば、子宝には恵まれないと断ずる。一方で子孫爻の発動は夫婦の夫を表す官鬼を剋するので、将来夫になにか災禍がある凶兆とする。

「生産を占ふ。用爻と為す。陽に属し旺相せば必ず男を生む。陰に属し休囚せば定めて女を生む。若し空亡に落つれば子育ひ難し」

出産を占うに在っては、子孫爻を用神とする。もし子孫爻が陽爻(—)で、旺相の爻であればその子は男児である。陰爻(- -)で休囚であればその子は女児である。子孫爻が(墓絶)空亡するようであれば、死産や未熟児、例え生まれてもその子は生育せず夭逝する暗示がある。

※(注)九鬼訳に(墓絶)部、易照補訳

「士官を占ふ。官を傷つくと為す。玷剝と為す。官を代ふると為す。発動すれば事を謀かり決して成り難し。任に在りて発動すれば官剥がれ爵を退く。若し貴人青龍天喜を帯び動く者は少しく玷剝有りと雖も官を代はる有るに過ぎず」

士官、任官、就職や試験を占うに在っては、子孫は占の用神となる官鬼を剋傷する忌神であり、その官職を傷つける。

在任(職)中の人であれば過失によってその位を追われ、職を失う忌神として扱うのである。発動すれば士官、任官、就職や試験など、いずれも成就難しい凶象となる。若し占って、用神が原神の生を受けたり、日辰や月建からの生を受け、これに貴人や天喜(医)、青龍などの吉神が臨めば、卦中子孫の発動を見ても、過失を犯したとしても軽微であり、多少の左遷、あるいは減俸などの処分はあっても、免官、免職には至らないであろう。

本文、“官を傷つくと為す”より「傷官」で、「古典五行易」の四柱推命との密接なつながりを伺わせます
※(注)九鬼訳本文「若し用爻他の生を受け」以下そのまま訳しましたが、神煞はともかく地位や職掌を占う際、官鬼を用神とするので、原神(妻財)の発動があれば子孫爻発動を見ても接続相生となるので、子孫爻の発動をもって減俸や免職を案じるという見方は解釈の飛躍が見られます

「訴訟を占ふ。解神と為す。和を勧める人と為す。旺相発動せば紛事必ず散ず。若し世応比和して更に此の神発動を得ば、必然として人を得て和するを允す」

訴訟を占うに在っては、子孫爻を和解の神とする。従って、この爻発動して世爻や応爻に(生剋合冲など)緩衝するところがあるならば、大きな訴事案件も必ず人に和解を勧められ、または、双方の誤解が解けて大事に至らずに訴訟案件は終息するという象である。世爻応爻が比和してさらに日辰が比和するような時は、必ずその訴訟を調停する人が現れて間を取り持ってくれるのである。

※(注)訳中(生剋合冲など)部は、易照補訳

「失脱を占ふ。捉獲之神と為す。権に当り発動せば必然として捕獲す。若し発動するも休囚せば、旺時必ず賊之踪跡を知る可し。亦た恐らくは愉時曽て人に見ら被る」

探し物、盗難を占うに在っては、子孫爻を発見者、捕縛者とする。もし月建や日辰からの好作用がある旺相の発動の子孫であれば、賊は必ず逮捕される象であり、遺失物は必ず持ち主に戻る。子孫爻が月日に休囚して発動するような時は、賊はすぐにはつかまらないが子孫爻の旺相を待って賊の居所の手がかりがつかめる、あるいは目撃者や目撃情報が得られる象である。

「求財を占ふ。顧主と為す。財源と為す。旺相発動すれば経営久かる可く利源綿々として絶へず。或いは空亡に落ち、及び卦に上らざれば乃ち顧主無き也。妻財縦へ旺するも只一度を許す再びは成就し難し。譬へば水之源無きが如し」

商売や金運を占うに在っては、子孫を取引先、顧客となし、財源とする。

旺相して発動するのであればおよそ商売や営業、企業の経営は長期にわたり利益が上がり安泰である。もし子孫爻が空亡したり、伏神するような場合は、商売であれば顧客が付かないという象である。たとえ妻財の爻が旺相であっても、原神である子孫爻が空亡や伏神するような場合は根底が危ういので、一時的には利益を得るようなこともあるが、長続きせずやがて損失を生じると断じるのである。例えるならば水源のないため池のようなものである。

「出行を占ふ。好侶と為す。銭神と為す。外卦に在りて発動せば則ち路に好侶を得。財本虞無し」

出行や旅行を占うに在っては、子孫爻は良き伴侶や道連れであり、あるいはこれを旅費とする。もし外卦の子孫爻が発動して世爻あるいは応爻と生合すれば、必ず好き友を得て、旅中は何かと物心ともに便宜を図ってくれる存在となろう。

※(注)九鬼訳「世用と生合せば」の節、出行占の用神は基本的に応爻であるので「世爻あるいは応爻と生合すれば」と補訳

「行人を占ふ。吉にして回ると為す。発動して世を剋すれば帰期已近し。当に意に称ふを得て而して回るべし」

行商や旅行者の安否を占うに在っては、子孫爻を福神として利益、土産を抱えて無事帰るとする。

占って子孫爻が発動して世爻を剋するようなときは、必ず近日中に無事に帰宅するという象である(本節行人「子孫」を用神とする場合と解釈する)

例えば友人の旅行の安否を占う場合は用神は「兄弟」であるし、妻の場合であれば用神は「妻財」、親であれば「父母」、夫であれば「官鬼」と、用神は占う対象ごとに異なる、しかしいずれの場合も、用神が発動して世爻を剋するときはその帰宅は早いと断じる。かつ、旅行や行商などの目的は概ね達成、完了しての帰還である。


「家宅を占ふ。少丁と為す。旺相すれば則ち人丁旺盛。青龍貴人を帯ぶれば必ず跨竈之子有り。白虎玄武を加ふる者は必ず凶頑不祥之児有り。又宅神と為す。若し世を持するは、其の家清安にして福を獲。災火染まず盗賊潜消す」

一家の行く末を占うに在っては、子孫爻をその家族の子どもとする(使用人は「妻財」である)。旺相して青龍や貴人の吉神を帯びれば、必ずその家中より将来が嘱望されるような永俊の子が生まれる。白虎や玄武が子孫爻に臨むときは、必ず才徳乏しいか、性情共に不肖の子が生まれるであろう。

一方で家屋、家宅を占うに在っては、子孫爻は家屋を守る福の神である。もし占って世爻が子孫を帯びるような時は、その家は安泰にして病気や災害、火事や盗難などの被害に遭うようなことはないであろう。

※二爻は家宅の爻であるので、二爻が子孫を帯びるような時も同様に吉象と見れます

「農蚕を占ふ。成る有りと為す。旺相発動すれば田蚕倍収」

農産物の生育や、養蚕を占うに在っては、子孫爻をもって収量や収入が多い象と為す。もし子孫爻が発動して世爻または妻財と生合する場合は必ず田畑養蚕共に豊穣の象である

※(注)収量の多寡を占ったり、生産物の取引市況を占うのであれば、用神は「妻財」となります。
本節、古典は養蚕が農村の主要な収入源であった時代であり、現代に置き換えれば畜産、養殖に置き換えての解釈でも可です。いずれにしても、占的は「収入の多寡」を占う場合が多いでしょうから、この場合の子孫爻は「妻財」の原神として、その旺衰から吉凶の解釈をするべきでしょう

「国家を占ふ。国嗣と為す。吉神に臨まば建立已定まる。若し凶煞に加ふれば須く扶蘇、趙氏之謀を中するを防ぐべし。又弾劾之相と為す。旺相して動がば則ち朝廷に奸人無く国に忠良有り」

国運を占うに在っては、子孫爻を後継者、皇太子とする。安静で月建や日辰から好作用があるか吉神が臨むような時は、後継は聡明にしてすでにその位の継承は定まっている。しかしもし凶煞が臨んだり、他動爻の剋冲を受けるような時は後継をめぐって重大な事変があるか、権力闘争が来る広げられる様相であり、秦の皇太子である扶蘇が宰相趙高の奸計に貶められ、命を失うといった様相を表す。

また、子孫爻を国家の佞臣を弾劾する様相とする。旺相して発動を見れば政府朝廷内は忠臣が多く、佞臣は影をひそめるのである。

※(注)この場合の用神は五爻となります

「疾病を占ふ。医薬と為す。当に権に当り発動せば其病自ら安し。卦中此神なければ服薬効無し。小児を占ふに用爻と為す。空亡に落ちざれば遂に大害無し」

病氣を占うに在っては、子孫爻を治療行為や薬効とする。旺相発動して世爻を生合すればその薬や治療が奏功し病平癒の象である。卦中に子孫爻が出現せず伏神する場合は、その薬や治療は効果が期待できない。

また子どもの病氣容態を占うに在っては、子孫爻が用神となる。もし月日や他動爻の剋冲を受けず、または(墓絶)空亡に陥らなければ、その子の容態は安泰で大事には至らない

※(注)九鬼訳に(墓絶)部、易照補訳

「墳墓を占ふ。祭祀と為す。卦に子孫無ければ春秋二季人の祀る無し也」

墓を占うに在っては、子孫爻をもって子孫の供養とする。もし子孫爻が(月日から剋破を受けたり)卦中に子孫爻が現れず伏神したり、墓絶、空亡するような時は、この墓に参る子孫が絶えているか、墓に参る供養が行き届いていない象とする

※(注)九鬼訳「若し卦中子孫の爻破、空伏、墓、絶等」の節、(月日から剋破を受けたり)部、易照補訳
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