意味深な“夢”
普段テレビを見ることをしない私が、テレビ番組を見ているという意味深な夢を見ました。
ゲストを招いてのトーク番組で、ゲストは往年のアイドルの森高千里さんでした。
今年で52歳になるそうですが、夢の中に現れた彼女も大変美しく、年齢を感じさせないアクティブな印象を受けました。
番組内のコーナーでは、そんな森高千里さんが“ヌード(!)アート”に挑戦というコーナーで、芸術家の手により白黒にボディペイントされた森高千里さんが登場しますが、ヌードなのに全然そのように見えないというスタジオ中が、驚きを以て登場するという、なんとも印象深い映像が現れたのが印象的です。
ペイントを施したアーティスト曰く、「森高千里さんの全身で日本列島を表した」とのコメントで、女性の象徴の一つである胸は、ちょうど富士山を模しているのですが、全く淫らさを感じさせない神々しい表現が施されていました。
ちょうどキャンバスが女性であり、勿論アーティストの意図を正確に汲んだ森高千里さんが絶妙なポーズを取ることで至高の芸術が完成する…そんなナレーションを以て万雷の拍手の元コーナーは終了します。
次いでゲストが入れ替わり、これまた往年のアイドル斉藤由貴さんの登場です。
こちらも現在54歳になられたそうですが、年齢を感じさせない若さを保った姿で現れた彼女にスタジオは騒然とします。
そんな彼女が語るのは知的なテーマで「日本人のルーツ」
なぜか彼女は映画「猿の惑星」を引き合いに、日本人には二つのルーツがあるという持論を展開します。
一つは「母権的性格を持った縄文ルーツ」と、もう一つが「父権的性格を持った弥生ルーツ」、後者を集団をボス猿が支配する猿の共同体、弥生系の集団意識に例え日本人のルーツを解き明かしていくという、実に夢の内容とは思えない具体的、現実的な内容で思わず見入ってしまったところで目が覚めました。
夢の中で展開される易経の世界観
いつもであれば夢占いで鑑定する所ですが、あまりに夢の内容が壮大で読み解きには苦労しそうです。
ただし夢その物は大変に易経的です。
森高千里さんが表現した白黒の世界は陰陽ですし、アーティストが施した日本列島は「龍」に見立てることが出来ます。
その龍体を女性が表現する所は、龍の物語である「乾為天」と「坤為地」を模したものであります。
乾為天は発する者の持つべき志を説き、坤為地は陽の発する氣を受け万物を生じる受ける者の志を説きます。
また次に登場した斉藤由貴さんの持論もまた易経にルーツを見出すことが出来る。
父権と母権の象徴は「水地比」と「火天大有」に見出すことが出来ます。
水地比においては集団の中のリーダーが持つべき志であり、火天大有はそのリーダーが長くその権威を保つにあたって必要とされる志を説く。
易経64卦の1番目の乾為天と2番目の坤為地。一方で火天大有は14番目であり水地比は8番目の卦でもあります。乾為天は言うまでもなく陽卦、坤為地は陰卦です。水地比は陰爻(- -)が多いですが少ない陽爻(—)の意を汲んでこの卦は陽卦です。同様に解釈するならば火天大有は陰卦。
この順序が実に奥深い。陽→陰→陽→陰であり、森高千里さんの表現した世界と、斎藤由貴さんが語った世界に共通項は見出すことが出来る。いずれの卦も六爻が全て動く錯卦の関係にあり、その象徴する卦徳もまた正反対です。
おそらく時代の転換点に我々は立たされている。
一連の夢から連想する卦象を私はこのように解釈します。
激変する世界にいかに対処すべきか?
四つの卦を、上の図のように上下に分かち、通常みる様に上下で卦象を見出すのではなく、左右の八卦を以て易の卦象を見出してみます。
上半分は乾→坤→坎→離の八卦で並びますからこの八卦を左を上(外)卦右を下(内)卦の順に組み替えて卦象を出してみます。
「天地否」「地水師」「水火既済」の卦が並びます。
天地否は閉塞を表し、感染症の世界的な拡大と、経済活動を始め、世界的には外出の規制など日常生活のの停滞や閉塞が世界を支配しています。
天地否の次の段階は地水師であって、この卦は戦争の卦です。すでに地域紛争の火種は世界各所でくすぶっており、いつ大規模な軍事衝突が起きてもおかしくない世界情勢が迫りつつある。
最後は水火既済であり“完成”の卦です。戦争を経て新たな世界秩序が世界的に打ち立てられる…とこのような流れ。上(外)卦での八卦で構成される一連の流れは、上卦で政府の動きであったり、世界規模な動きを表すと解読します。
一方で下(内)卦で構成される卦象はこのようになります。
八卦の並びは乾→坤→坤→乾で組み合わせると「天地否」、「坤為地」、「地天泰」の卦象が完成します。
天地否は上卦のそれと同様、閉塞です。次いで現れる坤為地の卦徳は受容であり、その果てに得られる地天泰はそのまま安泰であります。
上(外)卦を政府や世界ととらえれば、下(内)卦は自分自身や自身を取り巻く身近な環境と見立てることが出来ます。
一連の卦を眺めその意を汲めば、閉塞もじっと忍の一字を以て受容すれば、安泰が得られる…このように読み取ることが出来ます。
遭遇するであろう世界の動きに対し、このように対処せよ…と易は教えているのか?
自立を促す易の卦象
答えは否です。
この読み方は、左にある八卦を上卦とし、右にある八卦を下卦として読み込みましたので、本来構成される卦象を180度反対から見た綜卦です。
こうあればいい、世界をこう導きたいと思う者の願望です。
正しくこの卦を読み解くのであればこのようになるでしょう。
今度は左にある八卦を下卦に、右を上卦として読み込みます。
このように読み込むと完成する卦象は「地天泰」「水地比」「火水未済」となります。
実際のところ世界は表面上は閉塞混乱の最中にあるが、水面下では安泰の方向に向かいつつあり、世界的な人類の意志は水地比、どの国家政府においても真のリーダーの出現を願っている。
宗教的にこれを読み解けば、仏教であれば末法の世界に出現する菩薩像であり、キリスト教的にはメシアの出現でしょう。
しかし、それだけでは「火水未済」と世界は完成しない。
そこで下卦をこのように読み取ります。
先程と同様に左にある卦を下卦、右を上卦とする見立てでは「地天泰」「坤為地」「天地否」と言う卦の並びであり、上卦で構成する卦象に運氣は逆行してしまいます。
上卦で構成される 「地天泰」「水地比」「火水未済」 の流れから読み解くのであれば、餌を求めるひな鳥宜しく口を開けて「救世主」「リーダー」の出現を待っていたのでは、やがて行きつくところは「天地否」と閉塞してしまう。
このような時、易を読む心得として八卦の陰陽を反転させて読む所に、易経が指し示す取るべき道が隠されています。
すなわち下卦乾→坤→坤→乾の陰陽を反転させて坤→乾→乾→坤と置き換えて読み解きます。
こうすることで形成される卦象は「天地否」「乾為天」「地天泰」であって、水面下で動く世界の情勢は平安に向かい、またそれをリードするリーダーが出現する、しかしそれだけでは新しい秩序は完成しない。
しかし、地球に住む人間が一人でも多く使命に目覚め、国や指導者に依存することなく自立を思考するのであれば、やがて現れるであろうリーダーの示す方向性や考え方に共鳴して、本来指向しあるべき安泰の世界を築き上げる。
その志を下卦で構成される卦象を以て易経は指し示していると読み解いてみます。
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