易経「繋辞上伝」を読み解く24
天の數は五、地の數は五、五(ご)位(い)相(あい)得て各(おの)々(おの)合ふ有り。天の數は二十有五、地の數は三十、凡(およ)そ天地の數は、五十有五、此(こ)れ變化を成して鬼神を行ふ所以也。 (繋辞上伝第9章第2節)
前節を引き継ぎ、「河図」の図より解説を続けます。
天の数を5、地の数を5とあるのはいうまでもなく中央の5と10(5+5)であるのですが、ここに数字の妙理があります。
奇数(陽数)である1、3,5,7,9を足すと25になります。
偶数(陰数)である2、4、6,8、10を足すと30になります。
それぞれの数字の並びの中心に位置する5,6で奇数の和、偶数の和であるその合計を割るとその数字は5です。
これが「 天の數は五、地の數は五、五(ご)位(い)相(あい)得て各(おの)々(おの)合ふ有り 。」です。
さらにその合計数である25、と30をたすと55となる。この55から地(土)の生数である「5」を引いた50は、伏羲が顕した八卦を見出すにあたりそのヒントとなった、植えた作物、植物の生育の過程を表した「句、股、弦」で、これは日時計の指し示す影の長さに由来します。
この日時計を表す言葉が「圭」でありこの辞が易の「卦」という辞の由来となっています。
また「句、股、弦」 はそれを数字で表すと3,4、5です。これは1,2の陰陽(両儀)を除いた時に現れる初めて陰陽が交わった状態であり、それぞれの3,4、5を2乗した数字は9,16,25でありこれを足した(9+16+25)和が50となります。
中央の5は五行の5であり、大地の生成化育の徳であり、人間の営みでもあります。
もともと天地間にある「1+3+7+9=20」と「2+4+6+8=20」の陰陽調和のところに人間の営みである「5」とその和である「10」(この場合5が男性、10が女性を表す)が作用して55の大和を為します。
人が生の営みを成すにあたり、森林を伐採し田畑を開墾する。
それは人間自らの生を営む所業の一環であるけれども、例えば炭を焼くために木を伐り山林の下草を刈ることが里山を維持する行為ともなり、荒れ地に畑や田んぼを作ることが、そこに新たな生を育むきっかけとなる。この行いは人間が意図するしないに関わらず結果として人間が住まう周囲環境がさらに豊かに発展することとなります。
それゆえに64卦55番目の卦に「雷火豊」と「豊」の卦名が付いている。
これは人の営みが地球を、自然を豊かにし、人間の所業がその意図する意図しないに関わらず、結果として人間以外の万物を生じ育む環境を整えることができるという可能性を秘めているがゆえに、充てられた卦名であろうと解釈します。
「 五十有五、此(こ)れ變化を成して鬼神を行ふ所以也。 」
この句の「鬼神」は「魂=DNA」と解釈します。
すなわち人間は宇宙の法則を理解し、その自ら生きる環境をも変えることのできる可能性を秘めており、それを行うことが人間に課せられた使命であり、それを行うことでさらに周囲の生成化育の宇宙の法則をさらに発展昇華させる、その活動の活発躍動を促すところに人間として生まれてきたことの役割があり使命である…この節これを強調するのです。
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