易経「繋辞上伝」を読み解く25

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繋辞上伝 第9章第2節筮竹の本数「50」の根拠を解説します

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大(たい)衍(えん)の數(すう)は五十、其用は四(し)十(じゆう)有(ゆう)九(きゆう)。分(わか)ちて二と爲して以て兩に象り、一を掛けて以て三に象り之を揲(かぞ)ふるに四を以てし、以て四時に象り、奇を扐(ろく)に歸(き)して以て閏(うるう)に象(かたど)る。五歳にして再(さい)閏(じゆん)す。故に再(さい)扐(ろく)して而(しか)る後に掛(か)く。(繋辞上伝第9章第3節)
”本筮法”による立筮法

この節は周易による占筮法と、その由来について解説します。

前節の奇数(陽数)の和と、偶数(陰数)の和から地(人=男女)の生数(5及び10)を引いた「50」を「大衍の数」と呼びます。

大衍の大は「宇宙の真理、至極」を表し、衍は「演算」を意味します。伏羲はこの50に宇宙の法則、変化や生成化育、還元再生の情報を体現している数とみなし、この数をもって「易占」に用いる筮竹の数の論拠に定めました。

「 大(たい)衍(えん)の數(すう)は五十、其用は四(し)十(じゆう)有(ゆう)九(きゆう)。分(わか)ちて二と爲して以て兩に象り、一を掛けて以て三に象り之を揲(かぞ)ふるに四を以てし、以て四時に象り、奇を扐(ろく)に歸(き)して以て閏(うるう)に象(かたど)る 。 故に再(さい)扐(ろく)して而(しか)る後に掛(か)く。 

「『大衍』と呼ばれる数は50である。従って50本の筮竹を用いる。
そのうち1本は宇宙根源の太極を表し、占的を念じた後50本筮竹より一本を筮筒に収める(太極)。再び占的を念じた後次に残りの49本を扇状に広げ、二つに割る。(両儀)
この時左手の筮竹の束は陽であり“天”を象徴する(天策)。
右手に持つ筮竹の束は陰であり“地”を象徴する(地策)。
ここで右手に持つ筮竹の束を卓上に置く。この時、卓上に置いた束より1本を取り左手の薬指と小指に挟みこれを“人”とする(人策)。
天策、地策、人策を以て易の天地人の三才を象徴する。
次に左手に持つ天策の束を、四本ずつ数える。これは四季であり東西南北の「四象」を象徴する。この時余りを左手の中指と薬指に挟む(割り切れた場合は4本を残す)。これが閏月を象徴する。干支暦の閏月は(4年ごとに巡るので)5年の間に2度巡ってくることになる。従って同様に地策の筮竹を四本ずつ数え、やはり余りを右手の中指と薬指の間に挟む。この時、①人策を指に挟む。②天策を4本ずつ数える。③余りを指に挟む。④地策を4本ずつ数える。⑤余りを指に挟むと一連の動作が5段階に及ぶ。この5が五年であり、陽数と陰数の合計から大衍を引いた5であり、地の生数を象徴するのである。
この時指に挟んだ筮竹を別にまとめその本数を数えて爻の陰陽を求める。次いで残った筮竹を用いて再び太極より始め両儀、人策、四象の占法を繰り返し、一連の占法を三度繰り返すことで八卦の各爻を求めるのである」

孔子の解説する筮法は「本筮法」と呼ばれる手法で、現在ではほとんど用いられることのない大変手順を要す占筮法です。

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「A」…①太極の1本を除く②49本を左右二つに割る(両儀)③地策より1本を左小指薬指に挟む(人策)④天策を4本ずつ数える。⑤余りを左薬指中指に挟む。⑥地策を4本ずつ数える。⑦余りを右手薬指中指の間に挟む。⑧指に挟んだ筮竹の本数を数える。

この時余りは必ず「5」か「9」になります。これは49本より1本(人策)を除くと残りは48本であり、もしこの時左手の余りが4であれば、(割り切れたことになるので)天策の合計は4本、12本、24本、36本(あるいは40本)のいずれかとなります。すると地策も4の倍数分が残るので、従って割り切れるので4本残すことになります。ですからこの時の余りの筮竹は(人策)1+(余り)4+4=9となります。

もし左手の余りが1であれば天策の合計は5本、13本、25本、37本、41本であり、地策の余りは必ず3となります。1+1+3=5

もし左手の余りが2であれば天策の合計は6本、14本、26本、38本、42本であり、地策の余りは必ず2となります。1+2+2=5

もし左手の余りが3であれば天策の合計は7本、15本、27本、39本であり、地策の余りは必ず1となります。1+3+1=5

この「A」の一連の占法を「第1変」とします。

「B」…Aで9または5を除いた44本または40本で同様に①~⑦を繰り返します。この時の余りは必ず「8」か「4」となります。これは44本(40)より1本(人策)を除くと残り43本(39)であり、もしこの時左手の余りが4であれば、(割り切れたことになるので)天策の合計は4本、12本、24本(あるいは36本)のいずれかとなります。すると地策の残りは39本、35本、31本、27本、23本、19本、15本、11本、7本であり、地策の余りは必ず3となります。この時の余りの筮竹は1+4+3=8となります。

もし左手の余りが1であれば天策の合計は5本、13本、25本、37本(41本)であり、地策の余りは必ず2となります。1+1+2=4

もし左手の余りが2であれば天策の合計は6本、14本、26本、38本(42本)であり、地策の余りは必ず1となります。1+2+1=4

もし左手の余りが3であれば天策の合計は7本、15本、27本、39本であり、地策は必ず割り切れますので4となります。1+3+4=8

この「B」の一連の占法を「第2変」とします。

「C」…Bで8または4除いた40本または36本あるいは32本で同様に①~⑦を繰り返します。この時の余りは必ず「8」か「4」となります。これは40本(36,32)より1本(人策)を除くと残39本(35,31)であり、もしこの時左手の余りが4であれば、(割り切れたことになるので)天策の合計は4本、12本、24本(あるいは36本)のいずれかとなります。すると地策の残りは35本、31本、27本、23本、19本、15本、11本、7本であり、地策の余りは必ず3となります。この時の余りの筮竹は1+4+3=8となります。

もし左手の余りが1であれば天策の合計は5本、13本、25本、37本であり、地策の余りは必ず2となります。1+1+2=4

もし左手の余りが2であれば天策の合計は6本、14本、26本、38本であり、地策の余りは必ず1となります。1+2+1=4

もし左手の余りが3であれば天策の合計は7本、15本、27本、39本であり、地策は必ず割り切れますので4となります。1+3+4=8

この「c」の一連の占法を「第3変」とします。

AからCで得た余りの数をそれぞれ数えます。この時「9」「8」を陰と「5」「4」を陽の2グループに分け、例えばA=9(陰)B=4(陽)C=8(陰)であれば陰陽少ない方を爻として採用する、したがってこの場合は「陰陽陰」で八卦の「坎」となります。

坎卦を構成する爻は、陽が少ないので陽爻(—)となります。これを別名「単」と称し爻としては「ー」で表します。

A=5(陽)B=4(陽)C=8(陰)であれば「陽陽陰」で八卦の「巽」となります。

巽卦を構成する爻は、陰が少ないので陰爻(- -)となります。これは別名「折(せき)」と称し爻としては「- -」で表します。

もしA=9,B=8,C=8の場合は「陰陰陰」となり八卦の「坤」となります。

坤卦は構成する爻が全て陰で、もちろんこれは陰爻(- -)となるのですが、これを別に「老陰」と称し爻としては「×」で表記します。

これがA=5,B=4,C=4の場合は「陽陽陽」となり八卦の「乾」となります。

乾卦は構成する爻がすべて陽で、もちろんこれは陽爻(—)となるのですが、これを別に「老陽」と称し爻としては「〇」で表記します。

この時「単」や「折」は変化の無い爻。一方で「老陽」「老陰」を得たならば陰陽が反転する変化する爻として、之卦を求める時に用います。

この「A~C」までの一連の占法を6回繰り返し下卦、及び上卦を求め卦象を導き出す大変手間のかかる筮法です。

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