易経「繋辞下伝」を読み解く21

易経繋辞伝
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繋辞下伝を読み解く 第5章5節

易経「繋辞下伝」を読み解く21

子曰く、小人(しょうじん)は不仁(ふじん)を恥(は)じず、不義を畏(おそ)れず、利を見ざれば勧(すす)まず、威(おど)さざれば懲(こ)りず。小しく懲らして大いに誡(いまし)むるは、これ小人の福(さいわい)なり。易に曰く、校(かせ)を履(は)いて趾(あし)を滅(やぶ)る、咎なし、と。これの謂いなり。(繋辞下伝第5章第6節)
「子曰く、小人(しょうじん)は不仁(ふじん)を恥(は)じず、不義を畏(おそ)れず、利を見ざれば勧(すす)まず、威(おど)さざれば懲(こ)りず。小しく懲らして大いに誡(いまし)むるは、これ小人の福(さいわい)なり。易に曰く、校(かせ)を履(は)いて趾(あし)を滅(やぶ)る、咎なし、と。これの謂いなり。」

私(孔子)はこう思う、

「およそ小人は不義を働き、不正義であることを恥じることなくむしろ開き直り、己に利がが及ばないことは進んで行おうとしないから、その行動を拘束しなければ悪事を働く。だから刑罰を示し定めて、その悪事を犯すことを戒めることは、小人にとっても有益なことなのである。易経の火雷噬嗑の初爻には“(罪人に)足かせをはめてその行動を束縛する。極刑に値する重罪を犯したわけではないから、更生の余地がある”とは、このようなことを言うのである」

易経の解く“救済”の道

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この節は易経にある「吉凶悔吝」の段階を例えたものです。

易経は絶えず変化するものであり、吉、凶をそれぞれ対局の頂点とした時に、それぞれの間にある段階が“悔吝”です。すなわち凶の時でもその行動に悔い改める所があれば吉に転じ、一方で吉に驕り自らを省みることが無ければ“吝”であり吉転じて凶に至ると易経は戒めます。

火雷噬嗑の卦は、下卦が震(木)初爻の陽爻(—)を罪人に嵌める足かせに例え、上卦の離は明智ですから、小人が悪事を働くを戒める刑罰、法律とします。一方で三爻四爻五爻で「坎」の互体を取り、下卦の震と合わせれば「水雷屯」ですから、小人の悪意、悪心を芽の段階で摘み取ることに例えます。

また初爻から四爻までを「離」みたて、上卦の離と合わせれば「離為火」となりますので、その賞罰を明確に示す様子です。

これにより、小人ですらも易経の吉凶悔吝の法則を用いれば大難が小難に転じる。例え兆しをとらえられない小人であっても、易経の法則を活かせば災い転じて福となす。凶も吉に至るし、吉におごり高ぶれば一転危地に至る…この在り様を、孔子は火雷噬嗑の初爻の爻辞を引用してこの節で説きます。

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