易経「繋辞下伝」を読み解く47
「八卦は象(しょう)以てを告げ、爻彖は情を以て言う。剛柔雑居して吉凶を見るべし」(繋辞下伝第12章第5節)
「八卦は象を以てを告げ、爻彖は情を以て言う。剛柔雑居して吉凶を見るべし」
「易経の八卦は、その象をもって吉凶を察することを促し、爻辞や彖辞(卦辞)は言葉を以て吉凶を告げる。
さらには、爻の柔剛、爻位の正、不正を以てその吉凶を推し測るのである」
易占吉凶占断のコツ
易経の根底にあるものは“確率論”に基づく統計学です。
易の卦象そのものは、例えば「地雷復」は地平線から太陽が昇ってくる様子を表しますし、一方で「地火明夷」であれば、日没してしんと静まり返った真夜中を表します。
ここを以て、占う内容が日の出の時なのか、真夜中であるのかを察する。
また、卦象を構成する八卦をみれば、地雷復は上卦が「坤」下卦が「震」であり次第に勢いが増してくる様子を想起させますし、地火明夷であれば上卦「坤」下卦「離」共に
陰を象徴する八卦であるので、陽剛不在、非常に不安定な時であることが察せられます。
またその上で卦辞や爻辞を見る。するとその掛けられた辞や八卦の卦象の象意に必ず一致するところが見いだせます。
易経は確率論ですから、その一致する所は必ず高い確率で的中します。
ところで、この節の「爻彖は情を以て言う」の“情”が実に味わい深い。
統計学で下される確率は、実に冷徹に、厳格にその数字を示します。
しかし一方で易経に人間的な情を感じる所は、例え其の示された確率からの答えが問いを発する者の意志と反していたとしても、そこに必ず救済の道が示されているところに、統計学に無い“情緒”を感じることが出来ます。
易経に言葉をかけた文王も、またそれを補った孔子も、易経に触れ、その理解を深めていた時代は、自身を取り巻く環境において大変厳しい時代を迎えておりましたから、一方でかけるその言葉にも一種の救いを求めるような情緒ある、実に人間臭い言葉がかけられています。
甚だ駆け出しではありますが、易占の鑑定上達のコツとしては、そういった卦象の帯びる情緒性を感じつつ、卦象の示す過去や現況の事象の確認と共に、卦象や卦辞や爻辞が示すその一致する所の吉凶の断をくみ取り、一つの筋書きの良いシナリオを作ることにあると感じているところです。
吉凶を断じるだけではなく、その結果に至りまでの戒めであったり、事の成就に向けての努力、問いを発する者の、その背後からの後援、問いを発する者の自立を促す「情緒ある言葉」を以て、一つの易占の断が完成すると思います。
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