桜田虎門「五行易指南」現代語訳 75

「離為火」

○およそ物事は拙速を好み、もたもたしていると事態が変じてしまうときである。
○長久のことは道半ばで挫折する時。
○一時的に勢い盛んとなり、次第に衰えていくとき。始めが有って終わりがない時である。
○強情であったり、誰かを利用する小利口な人物は災いが多い時(※4爻爻辞から)
柔和で正直者は他者の助けを得て発展した李静爻を納めるときである。
○「離」は離れるの意味であるから、親せきや親友と別れたり遠ざけ合う様子である
○一方で火は燃えうつる性質から「付く(着く)」の意味があり、誰かに付き従う時は末永いご縁となり吉。そうでない場合は利害が一致しない、意見が合わなかったりしてよくない。
火が気に燃え移る様子を想像し、類推すると良いだろう。
○物事は流転、変転しやすく現況を維持し難い時である
○学問を志す者は発展伸長の兆し、技芸の道も発展の兆しがある
○世間の注目を集めるようなことがある
○天候。暑熱乾燥。
○人物。聡明で賢い人物。気性の激しい人
○婚姻。凶(※離であるから)
○出産。吉凶半々
○住居。凶。転々とする
○士官就職。罷免されることがある。或いは転職を繰り返す。
○旅行。吉凶半々
○求財。成果が出にくい
○待ち人。すぐに来る。或いは連絡がある
○病氣。重症であっても治ることがある。但し長患いの病を占った時は死に至る
○探し物。速やかに誰かに尋ねれば出てくる
○探し人。遠くに行ってはいない。速やかに捜索すれば見つかる
○訴訟。吉凶半々
新井白蛾先生注釈
離(火)は燃え移るという意味から「離」と名付ける。従って離別を意味する。見た目は明るいが定型が無いことから、外面は強固に見えるが内面は衰えているという意味がある。転じて自信が無い、あるいは心が定まらない、あるいは真実ではないとも。不慮の災難や讒言を被ることがある。占ってこの卦を得たら始めは凶、後によろしいという言葉がかけられているから、占う物事によって吉と断じる。学問や出家ということを占ってこの卦を得たら吉。普通の人が占ってこの卦を得たらおおよそのことは不利。経済的な苦境から、家を売りに出すような苦労がある。罪に問われ、咎めを受けるようなことがある時。財貨を失う時。口舌災いに注意せよ。天候は雨。転居や移転は財を失ったり、口舌の災いがあることがあるが概ね差し支えない。求財は文章、芸術といった面で成功するだろう。その他は中途半端に終わる。探し物は女性に尋ねなさい。速やかに探さないと出てこない。


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