桜田虎門「五行易指南」現代語訳34
巻2 全動及び実(冲実)
およそ発動する空亡爻が日辰から冲を受けると、これを全動と言い、空亡する静爻が日辰から冲を受けるとこれを実(冲実)とい言う。
全動は通常の発動爻と同じ扱い(鼓缶子はこれを冲起と解釈※1)とし、実(冲実)は通常の静爻と同じ扱いとする。しかしながら長期の事を占うに在っては、空亡しない爻に比べ実(冲実)する爻はその勢いは甚だ弱いものとする。
(※1)近代五行易においては空亡する発動爻は、空亡とみなさず通常の動爻と同じ扱いとするので、この場合も冲散と解釈する
巻2 絶処逢生及び剋処逢生
占うすべての事において用神が日辰に対し絶運であることは大凶であると断じるのであるが、もし用神が日辰に絶運である時に、卦中動爻から絶運である用神が長生運に当たる時はこれを絶処逢生と言い、救援がある為に始めは凶でも末は吉であると断じる。(※1)
また、用神が日辰から剋を受けることは凶であるが、この時に卦中動爻より生を受ける時はこれを剋処逢生と言い、これもまたはじめは凶であるが救いがあるので末は吉に転じると断じるのである。(※2)
(※1)劉伯温著「黄金策総断千金賦通解」では「傷有らば救いを待つ」とあり、この場合の傷とは用神の暦からの剋冲や墓絶空亡を表す。救いとは同行からの生であるので、鼓缶子のこの解釈は誤りで、卦中動爻からの生、または用神自ら動いての回頭の生を以て絶処逢生と解釈することが通例である。 (※2)同行からの生だけでなく、用神自ら動いての回頭の生も絶処逢生と同様に剋処逢生と解釈する
巻2 合中帯剋及び 合中帯剋刑
子と丑は支合するが、子(水)にとっては丑(土)は己を剋する関係にある為に、吉中に凶ありと断じる。例えるならば、お人好しが他人に騙されたりするような様な物である。卯と戌は支合するが戌(土)は卯(木)に剋を受けるので、子丑の合と同じように解釈する。これらの関係を 合中帯剋 と言う。
その作用はおよそ合が3割、剋が7割と言われる。ただしこの時、子(水)や戌(土)が月建や日辰から生を受けたり、卦中動爻より生を受ける旺相爻であれば、剋より合を優先して断じるのである。
合中帯剋 とは子丑及び卯戌の合に限り発生しうる現象である。
巳と申は支合の関係にあるが、一方で刑する関係にある為に、これも吉中に凶ありと断じる。しかし申の爻が巳に変化する場合は、申にとり巳は長生の地に当り、これを重視するので刑や剋の作用は軽いと断じるのである。従って申の爻が月建や日辰、他動爻の生を受けることの無い衰弱爻であっても、合と長生を重視して事を断じるのである。
但し、占時が寅月、寅日であるときは寅巳申の三刑が成立し、この場合の申は寅より冲を受けるので刑剋を重視して断じるのである。
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