大相撲名古屋場所は、千秋楽前までに5人の力士が優勝争いに競り合い、賜杯をめぐって激しい取り組みが展開されました。
千秋楽で、2力士が脱落、残る3力士が3敗で並ぶもつれた展開となりました。
このうち、関脇の「豊昇龍」、幕内前頭17枚目ながら横綱白鳳の弟子として急速に力を付けてきた「白桜鵬」との結びの一番前の取り組み結果を、講座の受講生のお一人が勝敗を占いました。
占的「豊昇龍対白桜鵬の勝者は?」
立卦及び卦象
本卦「巽為風」、之卦に「地火明夷」を得ました。
講座の受講生は、「豊昇龍」推しで立占しましたので、之卦の「地火明夷」は「真夜中の卦」で悪いイメージを持ったようです。
本卦は上下同じ形の八純卦で、成績、実力が伯仲している様子です。
房主のイメージは、受講生が豊昇龍推しの立占と聞いて之卦に得た「地火明夷」は、「内卦=豊昇龍」「外卦=伯桜鵬」にあてはめて考えると、内卦が離(火)であり、明るい=賜杯…というイメージが湧きました。
用神は、世爻を豊昇龍、応爻を伯桜鵬で取ります。
世爻は上爻で兄弟を帯び暦からの作用はない、無氣休囚。上爻であることと、兄弟を帯び初優勝に向けての重圧。負けられないというプレッシャーとの闘いです。
応爻は月建に生、休息に力をつけ勝ち上がってきた伯桜鵬の勢いが現れています。但し応爻は日辰から剋を受け、空亡。優勝争いは初めてですから雰囲気をつかめないでいる感じ。官鬼を帯びるので、波乱を起こしてやろうと鼻息の粗さを感じられます。
優勝が懸かる一番ともなると、両者の力が拮抗して読みづらいです。世爻は無氣休囚ながら発動あり、ただし卯が酉に変化する回頭の剋です。
卯(木)を生じる水の原神は二爻の亥(水)で発動して丑(土)に変化の回頭の剋。応爻が忌神の酉(金)ですがこちらは発動が有りません。
一方で応爻ですが、こちらは発動なしの空亡爻。金を生じる土の原神は四爻は静爻、初爻は発動も卯(木)を化出の回頭の剋。
金を剋する忌神の巳(火)は五爻で発動して回頭の剋。
整理すると…
世爻発動➤暦に休囚➤回頭の剋➤凶
応爻静爻➤暦の作用吉凶半々(月建に生を受けるも、日辰の剋を受け相殺)➤但し空亡するので凶
共に原神は回頭の剋となるので考慮しません。
世爻と応爻条件はほぼ一致していて、優劣がつけがたい卦です。受講生の方は、世爻の回頭の剋を重く見て伯桜鵬の勝ちと断じました。
一方で、房主はこの卦を見て「豊昇龍」の勝ちを即断しました。
易占は確率、統計論
まず周易的な解釈で、之卦に現れた「地火明夷」という卦は、本卦の巽為風と比べると外卦は陽爻(—)が減じて三陰の坤の卦に変化しています。坤の卦徳は受容ですから、攻勢、守勢で考えるとどちらかというと受け身に回るイメージです。
また冒頭で指摘した通り、内卦=豊昇龍、外卦=伯桜鵬で内卦の離(火)=明るいより、豊昇龍に賜杯のイメージが湧きました。
世爻は確かに回頭の剋ですが、外卦は真(剋)反吟しています。反吟は繰り返すの象意が有るので、内卦=豊昇龍、外卦=伯桜鵬の理屈から、今回優勝争い初挑戦の伯桜鵬は苦杯をなめて、来場所以降再チャレンジ…と読み解きます。
また卦身=世爻の分身と見ると、大関昇進がかかった優勝争いで、子孫は夢、希望から関脇の豊昇龍の大関昇進の目標。発動して父母からの回頭の剋ですが、父母は横審(横綱昇進審議会)で、大関昇進を伝える(父母には伝達の象意が有ります)という象にも読み取れます。
易経とはもともと高度な天文学に根差した統計論ですから、易占もまた卦の表す象や言葉等の積み重ねによって吉凶を断じていきます。
結果は結の一番前に豊昇龍は伯桜鵬を下し、優勝決定戦に駒を進めます。
大関北勝富士との優勝決定戦で大関を下し、初の賜杯を手にしました。
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