桜田虎門著「五行易指南」現代語訳②
巻1 卜筮誠敬を主とする説(占う者と占いを求める者の心構えについて)
一般人の為に卜筮を取る者の心構えとしては、その占う者の心が誠実であり、真摯にその答えを求める誠敬の心を第一義とする。世間巷間の易占を成す者の多くは四民(士農工商)の生業を失ったものが多く、商人を志してもその資金に乏しく、農業や職工の道を志しても、その苦労に耐えられないがためにわずかに筮を学んで、易占に無知な一般人を欺いて労せず利を得ようとする。
求占者にとって、易占を立てる者が、ただただ金銭を貪る事を専らとしている似非易者なのか、誠実な心根を持った真の易者であるのかを見抜くのは難しく、これが所詮占い等当たらないとそしりを受けるゆえんである。
また一方で、一種の人格者であり衣食に対してあまり頓着せず、易占で金銭を受け取ろうとしない易者も中には居るが、これを以て恩を売り、その知識をひけらかし、衆人の尊敬を一身に集めるようなことに喜びを感じるような易者には、占いを求める者も軽々しく立占を依頼し、あるいはその力量を試してみたり、あるいは当たらぬ、嘘八百と哄笑の種にしたり、実にいい加減な気持ちで立占を頼んでくるものである。こういう求占者の依頼をピタリと言い当てることは大変難しい。
卜筮して鬼神よりお告げを頂くということは、祭祀祈祷して鬼神がその身に憑依して告げるのと同じく、(占う者も、占いを求める者も)ただただ誠実で清い心が必要である。これは占う以前に必要な心構えである。
近世、中国の王西山(王洪緒)先生が「卜筮正宗」という書を著し、その冒頭にて、このような心構えのついての節を設けて論じている点においても、いかに占う際の(占う者と占いを求める者の)心構えが大切であるかを戒めている。私はその遺徳を受けて、また当今人々が抱えるの諸問題を筮を以て救おうとする者は、よくよく戒めとして心に刻むべきであると考える。
卜筮にあたる心構えとして、ただただ至誠の清い心にその第一義を求めることは、軽佻浮薄な俗人が簡単にはたどり着けないような境地でもある。もしその義心をさらに尽くそうとするならば、宋時代の儒家の論じ研究した諸書を通読すれば、凡そその大意概要を知ることができるであろう。
我が国においても三宅尚斎(※)1先生の著した神仏に対する祭祀の手順を説いた解説についても、占筮の心構えと全く同じとは言えないまでも、大いに参考になろう。
(※1)江戸時代五代将軍綱吉公時代の儒学者。朱子学の大家として知られる一方で占筮を用いた易経にも造詣が深かったと伝わる
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