桜田虎門「五行易指南」現代語訳㉕
巻2 三刑
三刑は用神が休囚してその上他の爻から剋を受けるような時に、この三刑に逢うような時は凶災に遭うのである。もし卦中に三刑がそろうものの、いずれの爻も発動を見ない、あるいは用神が休囚ではなく又は他爻から剋を受けていないのであれば、三刑に遭っても凶災には遭わない。
また断易易冒等には六害という概念についての指摘があるも、しばしば検証したがその験を見ることが成ったので、現段階ではこの(六害)の概念は用いないこととする。(※1)
尚、三刑とは以下のとおりである。
「寅巳申」「丑戌未」「卯子」…相刑
「辰、午、酉、亥」…自刑
例えば、「相刑す」とは寅の爻が発動して巳申(の合)を刑する。この時、巳を帯びる爻が動いて寅申の冲を刑したり、申の爻が発動して寅と巳の害を刑することを言う。
自刑とは辰の爻が動けば、自らを刑し、午の爻が動けば自らを刑するということを言う。
(※1)六害は、一説に“口舌災いがある”という験を見る例があるが、吉凶を断じるにその作用はほとんど影響はない
巻2 諸星(神煞)
※神煞の一覧表には原書に一部転記の誤りがあったので、修正しています
例えば占って甲の日に用神が寅の爻を得たのであれば、寅の爻は神煞の「天元禄」を帯びる。卯の爻であれば、卯の爻は凶煞の「羊刃」を帯びる。丑の爻(※1)また未の爻であれば、それぞれの爻は神煞の「貴人」を帯びる。
占った日が乙の日であれば、 用神が卯の爻を得たのであれば、卯の爻は神煞の「天元禄」を帯びる。辰の爻であれば、辰の爻は凶煞の「羊刃」を帯びる。申の爻また子の爻であれば、それぞれの爻は神煞の「貴人」(※2)を帯びる。そのほかは上記表を参照されたい。
例えば申実、子日、辰日の占であれば、卦中の寅の爻が神煞の「駅馬」を帯びる。 卦中の巳の爻が凶煞の「劫殺」を帯びる。 卦中の酉の爻が神煞の「咸池」を帯びる。 そのほかは上記表を参照されたい 。
「貴人」(※1)及び「天元禄」吉星である。用神が原神の生を受けて旺相し、月建や日辰より生扶を受け、さらに六獣の青龍を帯びるところに「貴人」「天元禄」の吉星を伴う時は、こと身命を占うにあっては、富貴、人臣位を極める吉象で、これが原神が帯びる時は貴人や実権のある人物に抜擢任用される吉象である。
「羊刃」は血を見ることを司る凶星である。用神が忌神の剋を受けたり、月建や日辰からの刑や冲剋を受けるような時に、更に六獣の白虎を伴う時に凶煞である「羊刃」が巡る時は、険阻艱難に遭いやすく、また諸事自身が心身ともに傷つくことがあるという凶象を示唆する。
「駅馬」は吉星で、旅行や行商といった出行や、待ち合わせをして相手が現れるのか?…のような判断であれば吉である。
「劫殺」は暴君の象徴で、暴虐で嫉妬深く争い事を好む凶星(紙)である。
「咸池」は男女淫欲を司る凶神で、恋愛や婚姻を占って用神が青龍帯びて発動する時に、「咸池」の凶煞が重なることは淫夫、淫婦と断じる。別名「桃花殺」ともいう。
このほか、「断易」「易冒」等の書には「四季天赦」、「四季小赦」、「皇恩貴」、「天嗣」、「天耳」、「天目」、「天觧」、「喝散」、「關鎖」、「旌旗」、「三丘五墓」、「喪車」、「鰥寡」などは春夏秋冬を以て分けて配し、福星の「貴人」、「喜神」、「文昌」、「觧(解)脱神」、「日觧(解)」、「官車 日觧(解) 」、「十干天赦」、「日下大殺」、「截路空亡」、「墓門殺」は十干を以て分けて配し、「天医」、「受生」、「太微垣」、「活曜」、「天財」、「地財」、「天馬」、「天猪」、「天鼠」、「天賊」、「天罡」、「河魁」、「雷日神」、「槌門官府」、「天獄殺」、「天賊殺」、「四季天賊殺」、「天狗殺」、「勺陳殺」、「白虎殺」、「小耗殺」、「大耗殺」、「瞞神」、「陰殺」、「受死」、「天哭殺」、「死炁官府」、「地獄折煞」、「浴盆」、「往亡」、「覆舟」、「暗金」、「荒蕪」、「月空」、「月上」、「五鬼」、「白浪」、「天燭」、「天火」等は12支を以て配する。
また「四利三元」、「四吉星」、「四極神」、「四刑殺」、「鶴神」、「臨官」、「天符」等の神煞は、それぞれ占うことによって、例えば病氣を占う時は「天医」や「受生」を吉星とし、「三丘五墓」、「喪車」、「受死」、「沐浴」を凶星とする。
旅行を占う時は「往亡」を凶とし、船での旅行は「覆舟」「白浪」を凶星と見る。
家宅を占う時は、「天火」「天燭」を凶星とする等、神煞の種類は多岐に及び枚挙に暇がない。しかし「五行易」の断は用神の生剋で決するのである。
用神が剋や害、刑や冲を受ける時、生扶、拱合するものが無いときは、吉星の神煞が巡っても吉とはならないし、用神が旺相して原神や日辰、月建の相生、生扶、拱合して、剋や害、刑や冲を受ける無いような時は、強擦を帯びても凶とは断じない。つまるところ、神煞はそれほどこだわる必要が無い。
故に今用いる神煞はここに掲げた56法に限り、またこの56法についても用神の生剋合冲等から旺衰を判断し、用神が旺相で吉と断じる時に吉星を帯びればさらに吉とし、衰弱で凶と断じる時に凶煞を帯びれば凶と断じればよく、深くこだわる必要はない。
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