桜田虎門「五行易指南」現代語訳㉚
本宮顕伏についての説。
桜田虎門「五行易指南」現代語訳31
巻2 独発独静
およそいずれの卦であっても、ただ一爻のみ発動する卦を「独発」という。例えば乾為天の卦が天風姤に変化する時は、初爻の独発という。
或いは乾為天が天火同人に変化するような時は二爻の独発という。
一方で、いずれの卦であっても、五爻が皆発動し、一爻のみ変化しない卦を「独静」という。
例えば乾為天が地雷復に変化するのは初爻の独静であり、乾為天が地水師に変化するのは二爻の独静という。
また、六爻共に変化しない静爻不変の卦であっても、六爻の内に日辰からの冲を受けて暗動するものは特に「冲動独発」という。例えば占ってケ乾為天の不変爻を得た時、占った占日が午日であったなら初爻の子孫の子(水)は日辰より冲を受けて暗動する冲動独発とする。占日が申日であれば二爻の妻財の寅(木)が冲動独発する。
およそ独発も独静ともに、占ったことの成就する時期や、その事の起こる遅速を断じるのに用いる。但し吉凶の断については、用神と忌神の生剋の関係から考慮すべきであって、独発、独静を以て断じることはしない。
易冒等の一部書籍においては独静、独発は周易の該当爻の爻辞を以て吉凶を断じ、用神の強弱や帯類する五類に必ずしもこだわる必要はないと解説するがこれは誤りである。これは周易の卦辞や爻辞をその占断の参考にすることはあっても、それはなにも独発、独静の卦に限ったことではないのである。
巻2 尽静、尽発
いずれの卦であっても六爻全て発動の無い静爻であり、日辰から冲を受けることの無い卦を「尽静」という。また逆に六爻全てが発動して、静爻が無い卦を「尽発」という。
およそ尽静は桜のつぼみのように、後刻に吉意を含むと取って、尽発は桜が満開のような状態で後刻散乱するという意味にとる。(※1)
(※1)鼓缶子は吉凶の断にこれを用いると解説するが、およそ占って尽発を吉から凶に転じる兆しととらえたり、尽静を後に吉が来意するとらえる解釈は狭義であり、一部誤りがあることを指摘する。例えば、占って得た卦が坤為地から乾為天に変化するような場合は全ての爻が回頭の生となる吉象となる。むしろ前章の独発、独静の解釈を広義にとり、尽発、尽静かにおいても物事の成就やその事の起こりの遅速を推し測ったり、物事は大きく変化するのか、漸次穏やかに変化するのかを推断することに広げて解釈することが妥当であろう。
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