桜田虎門「五行易指南」現代語訳32
巻2 安静、乱動
安静とは静爻のことで、発動も無ければ月破や日辰からの冲を受けない状態をいう。六爻安静は前章で解説した尽静である。
乱動とは卦中の三爻以上が発動することを言う。このうち五つの爻が発動する状態は前章で取り上げた「独静」の卦であり、全ての爻が発動する卦は「尽発」の卦である。
およそ安静(尽静)の卦を得て、冲動する爻が無ければ占ったこといずれも平穏で吉兆とする。(この場合の冲動とは、いずれの爻も日辰の冲を受けたり、月破に逢う爻があることを指す)一方で乱動の卦は何事も平穏ではなく、占ったこと色々と反覆して定まらないと断じる。あるいは人心が一致しない様子と断じるのである。
およそ尽発や乱動卦は卦において三合会局を形成することが多い。また卦によっては本卦だけでなく之卦や月建や日辰を加えて三合会局を形成することがある。その会局の有無をとらえつつ吉凶を断ることが肝要である。
例えば未月の乙巳日に占って地山謙が天雷无妄に変化する卦を得たとする。
卦中の五つの爻が発動する独静の卦であり、乱動卦であるが、「寅午戌火局三合(寅は空亡、午は二爻の暗静爻、戌は之卦の上爻にある)」、「亥卯未木局三合(亥は本卦五爻、卯は空亡、未は月建が帯びる)」、「申子辰氣水局三合(申は本卦三爻、子は之卦の初爻、辰は本卦の初爻、之卦の三爻にある)」、「巳酉丑金局三合(巳は日辰が帯び、酉は本卦の上爻、丑は本卦の四爻が帯びる)」以上の様に、四つの三合会局をすべて併せ持つのである。(※1)
(※1)鼓缶子の指摘する三合会局の内、卦中で成立を見るのは「申子辰水局三合(発動する三爻の申、初爻の辰と化爻の子で変則的に成立する)」と日辰の巳日を加えた「巳酉丑金局三合(発動する本卦上爻の酉、四爻の丑に日辰の巳日を加えて成立する)」であって、この卦の場合「寅午戌火局三合」と「亥卯未木局三合」は成立しえない。空亡爻の填実を待って三合会局の機と断じる解釈を取ったとしても、「木局三合」は二爻の午(火)は静爻であるので不成立であるし、木局に至っては本卦にも之卦にも表れておらず、出空填実を以て三合成立とする鼓缶子の解釈は誤りである。 以下の鼓缶子の解釈は、以上を念頭に置きつつ読み進められたい
寅午戌の火局三合は、寅が空亡であるために弱い。但し出空填実の値にはその力は旺盛となる。
巳酉丑の金局三合は、丑の爻が日辰に絶運であり月破であるので弱い。但し月破を脱するとその力は旺盛となる。
申子辰の水局三合は子の爻が日辰に絶運で、月建に剋され、辰の爻は日辰に絶運であるから時がたっても弱い。
亥卯未の木局三合は、亥の爻は日辰に冲されて冲散する上に、日辰の巳日に絶運である。さらに月建から剋を受け、卯は空亡であるため、その力はほとんど作用しない。卯が出空填実の時に至っても亥が冲散するのでその力は甚だ弱いと断じるのである。
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